社労士が教える!助成金・補助金を活用した事業拡大戦略

# 社労士が教える!助成金・補助金を活用した事業拡大戦略

## はじめに

事業拡大や新規事業への参入を考える際、多くの経営者が直面するのが資金調達の問題です。しかし、国や自治体が提供している多くの助成金・補助金制度を上手に活用すれば、自己資金に頼らない事業展開が可能になります。

本記事では社会保険労務士の視点から、助成金・補助金の効果的な活用方法と、実際に成功した事例をご紹介します。

## 助成金と補助金の違いを理解する

まず基本的な知識として、助成金と補助金の違いを押さえておきましょう。

**助成金**:主に厚生労働省が所管し、雇用の安定や職場環境の改善、人材育成などを目的として交付されるもの。返済不要。

**補助金**:主に経済産業省や各自治体が所管し、設備投資や研究開発、販路開拓などの事業活動に対して交付されるもの。こちらも返済不要。

## 活用すべき主要な助成金・補助金

1. 雇用関連の助成金

キャリアアップ助成金

非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を行った場合に受給できます。正社員化コースでは1人あたり最大72万円が支給されることも。

人材開発支援助成金

従業員のスキルアップのための研修費用を助成。業種や企業規模によりますが、費用の最大75%が助成されるケースもあります。

2. 事業拡大のための補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

新商品開発や生産プロセス改善などの取り組みを支援。最大1,000万円の補助が可能です。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援。50万円〜200万円程度の補助金が受けられます。

IT導入補助金

業務効率化やDXを推進するためのITツール導入費用を補助。導入費用の最大1/2が補助されます。

## 成功事例に学ぶ

中小製造業A社の事例

従業員30名の金属加工業のA社は、人材開発支援助成金を活用して社員のデジタルスキル研修を実施。その後、ものづくり補助金を利用して最新のCNC工作機械を導入しました。

結果:生産効率が40%向上し、新規顧客の獲得にも成功。投資総額の約半分を助成金・補助金でカバーできました。

小売業B社の事例

地方の食品小売店B社は、小規模事業者持続化補助金を活用してECサイトを構築。さらにIT導入補助金で在庫管理システムを導入しました。

結果:コロナ禍でも売上を維持し、その後も全国からの注文が増加。事業規模を拡大することができました。

## 申請のポイント

1. 事業計画書の作成が肝心

助成金・補助金の申請では事業計画書の質が採択を大きく左右します。以下の点に注意しましょう:

- 具体的な数値目標を設定する
- 社会的意義や地域への貢献度を明確にする
- 資金計画を緻密に立てる

2. 専門家のサポートを活用する

社労士や中小企業診断士などの専門家に相談することで、申請書類の質を向上させることができます。商工会議所や産業支援センターなどの公的機関も相談窓口となっています。

3. スケジュール管理を徹底する

多くの補助金は公募期間が限られています。常に最新の情報をチェックし、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。

## 注意点

助成金・補助金は「もらえるお金」ではなく「事業発展のための投資の一部」と考えるべきです。以下の点にも注意しましょう:

- 申請要件をしっかり確認し、不正受給とならないよう注意する
- 交付後も一定期間の報告義務がある場合が多い
- 受給後の税務処理(課税対象となるケースが多い)も理解しておく

## まとめ

助成金・補助金を活用することは、リスクを抑えながら事業を拡大するための有効な手段です。ただし、申請には準備と戦略が必要です。

自社の現状と目標を明確にし、それに合った助成金・補助金を選択することが成功への第一歩となります。ぜひ専門家のアドバイスも取り入れながら、積極的に活用してみてください。

企業の成長戦略に助成金・補助金を組み込むことで、限られた資金でも大きな飛躍が可能になるのです。

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